パーキンソン病2023.10.16
札幌の公園でも木々が少しずつ色づいてきています。これから迎える紅葉を心待ちにしています、今年の秋はどうでしょうか?
最近よく耳にするようになった「フレイル」という言葉。病気ではないものの、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態とされています。年齢を重ねると代謝が下がりやすくなり、食べても体重が増えにくい、痩せていって疲れやすくなる、外出や活動が億劫になる、気付くと食欲も低下していく…というようなサイクルに陥りやすくなってしまいます。
パーキンソン病の患者さんは、パーキンソン病の症状によっても、体重が増えにくい、疲れやすい、活動が億劫になる、食欲が低下するといった、フレイルに似たような症状が出てきます。ある程度の年齢を重ねたパーキンソン病患者さんの場合、加齢によるフレイルが出ている影響なのか、それともパーキンソン病の症状が強くなっているのか、この見分けがとても難しいことがあります。そのような場合にはドーパミンの治療薬を調整することで、パーキンソン病の影響であれば症状が良くなることも拝見します。
フレイルとパーキンソン病のどちらにしても、下がりやすくなった代謝を上げることがとても大切です。基本は、しっかり食べて栄養をつける、体重を落とさずに増やす、ちょっとお尻を叩いて活動をすることです。車のエンジンをイメージして、ガソリンをたくさん給油して(栄養をつけて)、エンジンの回転数をある程度上げる(身体を動かす)ことが、安定して代謝を上げるのに役立ちます。
30-50歳代ですとメタボリックシンドロームのために運動がすすめられることが多いですが、60歳を超えるとどちらかというとフレイル予防のために運動がすすめられます。ウォーキングはもちろん、地域の運動教室に参加する、文化教室に顔を出してみる、知人と会う機会を増やす、リハビリテーションに通う…最初のうちは腰が重いかもしれませんが、ちょっとお尻を叩いて初めてみませんか?慣れればしめたもので、歯磨きと同じように考えなくてもできるようになれば、きっと代謝が上がっていくと信じています。
~大雪山系 秋のヒサゴ沼
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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