パーキンソン病2018.08.31
本日クリニックにこられたパーキソン病の患者さん。
話している私も元気になるような、とても感じの良い、素敵な女性です。
とある時期から左手足のつかいにくさを自覚するようになり、またしびれや不安も感じやすくなっていきました。更年期と重なったため婦人科に通ってながく治療を受けてきましたが、別に通っている整体院でたまたまパーキンソン病の話を聞いたのをきっかけに、クリニックに来られました。
当院は病院名に「パーキンソン」が入っていますので、はじめてくる患者さんの多くが、すでにパーキンソン病の情報を調べていることが多い印象を持っています。この女性がはじめてクリニックに来たときも、すでにパーキンソン病を調べておられ、パーキンソン病かもしれないという不安がとても大きかったと後に伝えてくれました。実際に診察室でお話ししていても、その不安が手に取るように伝わってきました。
この女性の症状、実は一見でパーキンソン病の症状はわかりにくいのですが、診察するとごく軽い筋固縮があり、歩いているときの腕の振りが若干小さくなります。座っているときに注意してみると足に細かい振戦がありますが、家族や周囲に気づかれることはほとんどないそうです。スタスタとしっかり歩き、声もしっかり出る、そして料理や書字もスムーズにできるので、周囲の方からもあまり気づかれないとのこと。
一通り動けるけど、なにか身体に違和感がある。動き続けたり・疲労がたまると身体の調子が悪くなる気がするのに、頑張って動いて日々の生活をしなければならない。忙しい仕事を毎日こなし、家に帰っては家事に取り組む。そして受験生の子供の相手に加え、ご両親の介護もする。そんな充実とも多忙ともいえる生活を過ごしていた矢先の左手足のつかいにくさだったようです。
脳内ドーパミンを測定するDATスキャンも行い、パーキンソン病の初期と診断し、ドーパミンを増やすための生活アドバイスを交えながら、ご本人・ご家族と相談しました。
実はパーキンソン病の治療薬は使用していないのですが、現在の彼女は左手足のつかいにくさがだいぶ軽くなり、気持ちの面でも安定してきました。家庭での生活がかなり多忙でご本人もストレスを感じておられたようで、仕事を整理し辞めた現在は、身体的な疲労が軽くなったのはもちろん、以前より気持ちの面で余裕が出てきた様子です。クリニックでは彼女のお話しを聞き、様々な角度からアドバイスをしているだけですが、彼女のパーキンソン病の受け止め・向き合い方の結果、ドーパミンが再び分泌されやすなり、症状も良くなってきたのでしょう。
パーキンソン病の診断を受けてしばらくは、多くの患者さんが気持ちの面で落ち込み、悩まれる姿を拝見します。私は、語弊を恐れずに「パーキンソン病はそんなに悪い病気じゃないですよ」と早い時期に伝えるように心がけています。不安を軽減するだけでもパーキンソン症状は良くなりますし、やがて気持ちが落ち着いてくる時期を迎えると、自然に「薬がなくてもグンっとあがってくる」方が多いように感じています。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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