Dr Makoto’s BLOG

【ひと声通信】 細くながく ~ブログの効用

クリニック2019.08.25

*本文は札幌市医師会通信 ひと声通信(廣谷 著)より転載しています。

 2016年秋、開院に向けてクリニックのホームページを準備しているときのことです。同法人である北祐会の広報担当者から「ブログを開設しようと思いますのでお願いします」とのひと声が。面白そうかなと思い、あまり深く考えずに引き受けたのですが、はじめて1か月も経たずに、なんとまぁ生みの苦しみ…。まるで原稿期日に追われる作家になったような気分で、幾らかの後悔が芽生えるまでに時間を要しませんでした。内容はさておき、モットーは週に1回ブログを更新すること。3年を迎える現在も何とか細くながく続けている、それだけが取り柄のブログと言っていいことは確かです。

 もともと自分に文章を書くセンスなどあるはずもなく、新聞の卓上四季や天声人語、色んなエッセイ本を眺めては、プロの文章にただただ感銘する日々が続いています。365日朝晩の2回、愛犬2頭を連れて散歩をする私は、咲く花々、続く長雨、カラフルな紅葉、しばれる寒さといった季節の変化を肌で感じやすい習慣が幸いです。季節の変化というものは万人に共通のようで、暑いですね、桜が綺麗ですね、という言葉が十分な挨拶、気遣いとなることを、最近改めて感じるようになっています。ブログではおもにこのような日々感じていることであったり、家族との関係、年中行事のこと、音楽の話、病気との向き合いかたなどに触れていますが、43歳の私にとってほとんどの患者さんは人生の先輩であります。一個人のブログにおいて、ときには生意気を覚悟で、勇気を振り絞って書くこともあるのです。そんななかでも、病気との向き合いかた、たとえばパーキンソン病に触れるときは、なるべく本に載っていないような実体験を織り交ぜ、明日からの実生活に少しでも役立つようなブログに出来たら、そんな思いで日々更新を続けています。

 スタッフがブログを毎週プリントアウトしてくれ、クリニックの待合室に配置してあるファイリングされたブログも4冊目を迎えようとしています。有り難いことに待合室ではたくさんの患者さんやご家族にファイルのブログを眺めていただき、患者さんと話のきっかけになることや、コミュニケーションツールに一役買うこともあります。おかげさまでWebでも多くの方々に閲覧していただいているようです。

 ブログを初めてひとつ良かったことは、ほとんど写真を撮る習慣のなかった私が、こまめに写真を撮るようになったことでしょうか。もちろん当初はブログにアップするためにせっせとスマートフォンで撮影していたのですが、どうやら私にも少しは観察力が身に付いてきたようで、無意識にいろんな自然や景色の変化に敏感になってきたことが、いちばんの効用ではないかと感じています。自己満足の範疇であることは承知のうえ、患者さんやご家族の気分が穏やかになるようなブログを、細くながく書き続けていくことも、私のひとつの幸せかなと、ようやく思い始めているところです。

 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩