パーキンソン病2020.01.20
私が育った篠路は札幌のなかでも古くから開拓された地域で、収穫した玉ねぎなどを保管する石造りの倉庫群が有名です。昔ながらの倉庫群はだいぶ減ってしまいましたが、学生時代によく利用していた駅とともに、休日の朝、その風景を撮影しに行ってきました。
医師会広報誌の表紙となる風景写真を撮りにいくのが実の目的、寒空のなかではありましたが、とても懐かしく感じました。
パーキンソン病の症状のひとつに振戦(ふるえ)があります。
よく患者さんから質問をいただくのですが、この振戦、パーキンソン病の患者みなさんに出るのでしょうか?
振戦はご自分でも気づきやすい、あるいは周囲の方も気づきやすい症状のため、比較的早い段階でクリニックへ来られる患者さんが多いように思います。一方で、振戦がなく、歩きにくさや手のつかいにくさで来られるパーキンソン病患者さんもおられ、4人に1人くらいのパーキンソン病患者さんは、ずっと振戦が出ることなく経過すると言われています。振戦はパーキンソン病の患者みなさんに出るということではないのですね。
振戦の大きさは患者さんによって様々ですが、実はパーキンソン病の重症度とはあまり関連しないと言われています。振戦とドーパミン神経の脱落程度に相関はなく、「振戦が強い=進行が早い」という訳でもないと考えられています。
実際に、振戦が目立つ患者さんに、ドーパミン神経の脱落具合をみるDATスキャンを実施しても、ドーパミン神経の脱落はわずかということをよく拝見します。
同様に、振戦が目立つ患者さんでも、筋固縮などの症状が軽微なため、歩行に支障がないような方も多くおられます。とくにこのような患者さんは、筋固縮が目立つ患者さんより進み方が穏やかとも言われており、私自身もそのような印象を持っています。
パーキンソン病と診断を受けて、ご自分の病状がどのようになっていくのだろう?と不安を感じられることに共感します。一般的に言われる「パーキンソン病の進行具合は人によって様々なのでなんとも言えません」とは確かにその通りなのですが、もう少し踏み込んで、振戦にはこのような特徴があることをお伝えし、少しでも情報をお伝えできるようにしています。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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