パーキンソン病2020.12.13
年の瀬が近づいてきて、クリニックスタッフ入籍の愛でたいお知らせが届きました。
クリニック開院当初から活躍している彼女の明るさや気配りに、きっとファンの患者さんも多いのではないでしょうか。スタッフ一同、末永い幸せをお祈りしています。
さて、患者さんやご家族から「パーキンソン病の治療薬は効果が出るまでどれくらいの期間をみると良いのでしょうか?」と、質問をよくいただきます。
パーキンソン病の治療薬は、大きく以下に分けられます。
レボドパ(マドパー®、ドパコール®など)
ドパミンアゴニスト(ニュープロ®、ミラペックス®、レキップ®、ハルロピ®など)
補助薬(エフピー®、アジレクト®、エクフィナ®、アーテン®、ノウリアスト®、トレリーフ®など)
一般的に、レボドパは効果の切れ味が鋭く、次いでドパミアゴニスト、補助薬の順で効果が実感しやすいと言われているようです。
例えば、レボドパで治療を開始したときには、早い患者さんですと4-5日目から、多くの患者さんは1か月も内服すると何らかの効果を実感できるようです。具体的には、歩きやすくなった、ふるえが軽くなった、字が書きやすくなったというようにご自分で実感される方、あるいは周囲の方から声が大きくなったよ、表情が出てきたよ、と指摘されることも多いようです。
治療薬の効果が出てきて「良くなってきている」と上向きの実感。果たしてこの上がり調子はどれくらいの期間続くのでしょうか?個人的には「治療薬を開始してからの3か月間」は、上がり調子で良くなっていく可能性があると考えています。つまり、治療薬によるドーパミン補充の薬理的効果は1か月ほどで安定しますが、その後2か月ほどはプラスアルファの効果でドーパミンが増えて調子が良くなると感じています。
とくに、初めて治療薬を開始するパーキソン病患者さんは、ドーパミンが長い間減少し続けた結果、脳の活動が全般に低調となってしまっています。そこへ、初めて治療薬によってドーパミンが補充されると、増えた脳内ドーパミンの状態に、次第に脳の活動が活発となっていき、患者さんの脳からドーパミンが出やすい環境になっているようにみえます。治療薬をきっかけに、脳がよみがえってくるようなイメージを私は持っています。
治療薬そのものによる効果は1カ月、その後2ヶ月ほどの期間は患者さん自身の脳からドーパミン分泌が促されていると感じています。これには睡眠時間の確保、適切な休息を挟んで疲労を避けること、最低3日に一度の排便コントロールで治療薬が吸収されやすい環境、適切な運動といった生活習慣もドーパミン分泌を促すのに大切なことです。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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