Dr Makoto’s BLOG

姿勢とねじりストレッチ ~重力に負けない!

パーキンソン病2021.02.08

朝起きると、光が射して気持ちの良い晴れです。
サラサラの雪も気持ち良いですが、木の枝に残るくらいの雪も綺麗ですね。
 
パーキンソン病と分かって数年経った患者さんからは、「背中や腰が張る」「太腿の裏やふくらはぎがだるい」という話をよくお聞きします。共通しているのは、「からだの裏側・背中側の筋肉に張りやだるさを感じやすい」ということのようです。どうしてなのでしょうか?
 
よく学校で整列するときに言われた「気を付け!」の姿勢をイメージしてみます…あごは引いた状態、肩は後ろへ下がり、肘は伸びた状態になりますね。そして、背筋はピンと伸び、腰も起き上がって、さらには膝もピンと伸びた状態になります。
 
一方で、普段リラックスして立っているときは、「気を付け!」の逆の状態になっています。つまり、顎や肩は前に出て、肘や膝は曲がり、背中や腰も曲がるようになる…これはどうやら重力の影響が強いようです。実際に、仰向けになって重力の影響がなくなると、不思議と姿勢はピンと伸びるようになります。バレエをしている人など、よく「姿勢が良い」と言われる方は、重力に負けないように、からだの裏側や背中側の筋肉(抗重力伸展筋と呼ばれます)を上手く使っているのですね。
 
パーキンソン病は、ドーパミンが減ることで、「力を上手く抜けなくなる病気」と、私は患者さんへお伝えしています。
リラックスした状態からだんだん力が入ってしまい、顎や肩が前に出て、肘や膝が曲がってしまい、背中や腰が曲がるようになっていきます。この屈筋群(おおまかに、立った状態で後ろから陽射しを浴びたときに、日焼けしにくい部分の筋肉)に力がはいる状態がながく続くと、だんだん前かがみ姿勢になって、重心が前に偏ってしまい、そのままだと転びやすくなってしまいます。その結果、からだは無意識に、背中や腰、大腿の裏やふくらはぎといた、からだの裏側・背中側の筋肉(抗重力伸展筋)に力を入れて、転ばないようにカバーしているのです。それが、背中や腰、大腿の裏やふくらはぎに張りやだるさを感じやすくなる原因と考えています。
 
パーキンソン病のリハビリテーションでは、抗重力伸展筋のストレッチも大切ですが、同時に原因となっている屈筋群のストレッチも念入りに行っています。自宅で簡単に行うためには、「ねじりストレッチ」が分かりやすく、手首や背中、腰、足首をゆっくり・ジワーっとねじる動作が、屈筋群と抗重力伸張筋を同時にストレッチするのに役立ちます。
 
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩