Dr Makoto’s BLOG

生活リズムとドーパミン

パーキンソン病2021.02.21

みなさんの生活は、ある程度決まったリズムをお持ちではないでしょうか?
朝起きる時間、食事の時間、リラックスする時間、夜床につく時間…。
 
先日クリニックに来られたパーキンソン病患者さん。
彼女は、他院でパーキンソン病の診断を受け、薬物治療が開始となりました。
 
働き盛りの彼女は、日中は多忙な仕事に加え、朝晩は家事もこなしておられます。
1日3回のレボドパ内服時間は、仕事の休憩時間や帰宅時間がまちまちなため、日によってずれてしまうことが多い様子です。夜は23時過ぎに床につきますが、最近は2-3時間ほどで目覚めてしまい、再び眠りにはいることもできずに止む無くそのまま出勤する日々が続いているのだそうです。
からだの不調を相談しますが、薬がどんどん増えていってしまうことへの不安を感じるようになり、生活上のアドバイスなどを聞きたいとのことで来院されました。
 
パーキンソン病の方に限らず、みなさんの脳内でドーパミンがしっかり分泌されるためには、脳の休む時間、つまり睡眠時間が十分にあることが大切と考えています。また、日中に活動していくと脳をつかい、脳内ドーパミンを消費してしまうため、こまめに休息をはさむことも大切と考えています。
 
パーキンソン病の治療薬はドーパミンを補充するのに効果的ですが、治療を続けていくうちに、脳は次第にドーパミンの補充を充てにするようになっていきます。とくにレボドパは6時間ほどの効果しかありませんので、一定のリズムで内服し、ドーパミンを補充することは、ドーパミン濃度を安定させることにつながります。
 
生活リズムを一定させて、起床時間、食事時間、内服時間、就寝時間、睡眠時間を安定させることは、脳内ドーパミンを安定させるのに大切なことです。
生活リズムとドーパミン。パーキンソン病の方はもちろん、みなさんに共通する健康の秘訣と考えています。
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩