Dr Makoto’s BLOG

お揃いのTシャツ

クリニック2021.06.17

だいぶ陽がながくなってきて、早起きが気持ち良い季節となってきました。
一年でいちばん良い季節と感じていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、クリニックにはご夫婦で来院される方が多くおられます。
毎回の診察室へ一緒に入られるご主人、受診まで自宅の様子をこまかく教えて下さる奥さん、リハビリテーションのため来院するご主人をクリニックへ送り届けてから買い物へ行かれる奥さん…などなど、色んな方がおられます。
毎回来院の度に付き添いをされるご家族には本当に頭が下がる思いです。
 
先日の診察では、パーキンソン病患者さんの女性と付き添いのご主人がお揃いのTシャツを着て診察室へ入って来られました。市民マラソン大会のカラフルなTシャツを着ていて、いつも短パン姿のご主人は、今すぐにでも走り出せるような恰好です。体脂肪率がおそらく10%を切っているであろう引き締まった身体と、立派な太腿やふくらはぎをお持ちで、一見して筋金入りのランナーと分かります。クリニックへ来院するときはいつも付き添いされるご主人が、ランニングをライフワークにしていることは予てから伺っていました。
 
今回、そのご主人が執筆・出版された「走歴30年 凡人スローランナーの足跡」という本を有り難くいただきました。さっそく拝読したところ、ご主人は40歳に差し掛かる頃にマラソンを始めて、フルマラソンを72回!(2016年まで)も完走されたとのこと。それはもう日々の努力を積み重ねてこられたのは想像に難くないのですが、不思議と文章を読んでいても、マラソンに有りがちな「辛さ」のようなものを微塵も感じさせないのです。根っから走ることが好きでたまらない、というのが文章に滲み出ているせいでしょうか。そして、時折文章に登場する「カミさん」、つまりクリニックの患者さんである奥さんやご家族の様子がとっても温かく描かれていているのです。最後は奥さんへの感謝の気持ちで文章を締めくくっています。
 
「カミさん」こと、パーキンソン病で通院している奥さんは、日によって、時間帯によって体調が変わりやすく、体調を維持するために日々前向きに、懸命に過ごしておられます。おそらく気持ちが辛くなるときも多いと想像していますが、いつも診察室では私の目を優しくみて、はつらつと話してくれます。

このご主人が隣に居ることが、きっと奥さんにも大きな支えになっているのだろうと、頂いた本を拝読して、改めて感じています。
 
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩