Dr Makoto’s BLOG

世界は自分の知らないことだらけ

旅行2021.09.21

*札幌市医師会北区支部会員広報誌第95号「北区支部かわらばん」(廣谷著)より転載しています。
 
今のご時世、自宅でゆっくり過ごすことが多くなりましたが、細々とソロで山歩きを続けています。歩く山はどこも非日常へとトリップされてくれますが、今回は格別の経験となりました。
 
帯広から層雲峡、紋別へと続く国道273号線沿い、上士幌町・糠平温泉から15㎞ほど北にある東大雪山系の二ペソツ山。北海道の山には少ない鋭峰で、標高2013メートル、山頂は360度の景色を見渡せることから、ながく憧れていました。2016年の台風で十六ノ沢登山道が崩壊してしまってから、現在の幌加温泉登山道では往復25㎞、11時間以上かかるため、なかなか躊躇していました。
 
今回は前日に表大雪の緑岳・白雲岳の紅葉を満喫し、余韻に浸りながらそのままの足で糠平へと向かいます。ちょっと緊張しながらも早々に眠りにつき、早朝にいざ二ペソツ山へ向かいます。予報では快晴、山頂の風は未明15m以上と強風ですが次第に弱まってくるとのこと、不安も感じながらのスタートです。
 
あちこちでドロドロになっている、決して道が良いとは言えない森歩きをすること2時間半。一気に視界が開けて、遥か遠くにみえる二ペソツ山頂が、疲労を吹き飛ばせてくれます。紅葉がすすんだダケカンバの黄色が鮮やかで心地よく、途中の前天狗ではあちこちでナキウサギが鳴いています。森林限界の高度1500mを超えると、稜線がはっきりとし、ハイマツと大きな岩のなかに、チングルマの赤がくっきりと映えるようになります。そして森歩きでは感じなかった風を感じ始めるようになります。
 
二ペソツ山は1泊2日の行程でじっくり満喫する登山者もおられます。前日にテント泊をして、この日の早朝に頂上を目指した登山者には、強風のために登頂を断念する方もいました。途中まで登れるか不安を抱えていましたが、天狗岳を過ぎたあたりから、幸い次第に風が弱まってきました。すれ違いの方から「今日は登ったほうが良いよ」と背中を押してもらい、頂上を目指すことにしました。
 
幸運なことに、二ペソツ山頂はほとんど風がなく、雲ひとつない快晴。表大雪(黒岳、旭岳、白雲岳)から裏大雪(忠別岳、トムラウシ山)、十勝岳連峰(美瑛富士、美瑛岳、十勝岳、富良野岳)、東大雪(ウペペサンケ岳、石狩岳、音更岳)と360度見事なパノラマでした。北海道に住んでいてよかったと、そして世界は自分の知らないことだらけだと、改めて感じた今回の山歩きでした。
 

 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩