パーキンソン病2022.04.30
やっとこの季節がきました!ここ数日は満開の桜を満喫しています。
本日クリニックに来た患者さんと花見の話をしていたところ、チシマザクラで有名な施設では希望する方へ桜の苗木を配っているのだそうです。なんとも贅沢な計らいですね。今年は苗木の配布にお目にかかれませんでしたが、来年の春までの楽しみとして、今からとっておこうと思っています。
診察室で患者さんとよくお話することのひとつに、「顔色が良いですね」という言葉があります。健康な方も、患者さんも、「顔色が良い」と言われて嫌な気分になることは少ないのではないでしょうか。
クリニックで初めてお会いする患者さんは、大きな不安を抱え、体調もすぐれないために、決して「顔色が良い」とは言えないこともあります。患者さんもともとの顔色を存じ上げていないときですので、初対面のときの表情がどうしても印象に残ってしまいます。
ところが、いざ治療をはじめていくと、見る見るうちに表情が豊かになり、顔色が良くなっていくことも少なくありません。そのときばかりは、初対面の表情は患者さんもともとの表情ではなかったのだと、ちょっと後ろめたさのようなものを感じることがあります。
先日のブログで触れました、遠方からいらしたパーキンソン病患者さん。時間によって変動する痛み・動きにくさのために仕事や家庭生活が儘ならず、途方に暮れた表情でクリニックを初診されました。初対面の表情がどうしても印象に残っていたのですが、先日クリニックにいらした彼の見違えるような表情に驚きました。メガネを外していて、髪型や服装がキリっとしていて、声もはつらつ、姿勢や動きも良く、まさに「顔色が良い」のです。追加治療によって脳内ドーパミン濃度が安定、からだの痛みや動きが良くなり、仕事や家庭生活がだいぶ調子よくなった様子です。毎晩自宅で待っている奥さんやお子さんからは、「夕食のときに元気に話せるようになった」と、お父さんの元気な姿にホッと安心した様子です。
私も嬉しくなって、思わず「顔色が良いですね」と伝えていました。起床、食事、内服、休憩、就寝といった一日の生活サイクルをしっかり保っていくことで、脳内ドーパミン濃度が安定しやすくなります。これまでの労をねぎらいながら、今の状態をしっかり保っていくことを分かち合いました。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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