パーキンソン病2022.07.17
梅雨がないと言われている北海道ですが、7月にはいって梅雨に戻ったかのようにすっきりしない天気が続いています。このまま夏が終わってしまうのでは?と少々気がかりなこの頃、てるてる坊主の出番!といったところでしょうか。
クリニックに通院しているパーキンソン病患者さんには、薬剤治療を受けたり、外来でリハビリテーションに励んでいる方がたくさんおられます。脳のドーパミン神経細胞が減るパーキンソン病では、ドーパミンを補充する薬剤治療やリハビリテーションは大切な治療です。それと同じくらい、「どうやってご自分の脳からドーパミンを最大限分泌できるようにするか」という生活の工夫も、パーキンソン病をながく安定させるのに大切なことです。
患者さんによくお伝えしていることのひとつに、「ドーパミンは睡眠で増えて、疲労で減っていく」という生活リズムの基本があります。脳が休んでいるとき、つまり睡眠をしっかりとることでドーパミンは増えていきますし、身体や精神的な疲労が溜まることでドーパミンは減っていきます。
普段の生活では、みなさんが家事や仕事など、何かしらの活動を毎日毎日繰り返していきます。パーキンソン病の薬剤治療やリハビリテーションを続けていても、知らず知らずのうちに慢性的な疲労によってドーパミンが減ってしまうことがあります。
そのようなときは、ドーパミンを補充するために「薬剤を増やす」か「休息をとる」ことを考えていきます。薬剤を増やすのはある意味簡単ですが、どうしても副作用の懸念があります。ですので、休息をしっかりとることが基本なのですが、思いのほか休息をしっかりとれない方も多いようです。仕事や家事をご自分の思うように加減することが難しいためです。
そこで、パーキンソン病の患者さんには、定期メンテナンスのイメージで、本院(北海道脳神経内科病院)への「リハビリテーション入院」を積極的にすすめています。3-4週間ほどの入院期間、日常生活から離れてしっかり休息をとるだけでも、ドーパミン分泌が回復して体調が良くなる方がたくさんおられます。加えて、入院中に集中的なリハビリテーションをすることで身体のこわばりが軽くなって、バランスもとりやすくなり、関節の可動域も広がっていくようになります。また、介護するご家族の休息につながる場合も多いようです。
慢性的な疲労をリセットして、ご自分の脳からドーパミン分泌を促してあげる。パーキンソン病をながく安定させるために大切なことと感じています。
~大雪山 旭岳の雪渓
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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