Dr Makoto’s BLOG

広い広い北海道 ~オンライン診療と安心感

クリニック2023.02.12

3年ぶりのさっぽろ雪まつりが終わりました。いつも雪まつりが終わると、密かに春へのカウントダウンを始めていたものです。今年の春はどこまで近づいているでしょうか?
 
クリニックでは遠方の患者さんを中心に、希望される方へオンライン診療も行っています。札幌から6時間ほどの町に住んでおられるパーキンソン病患者さん。一人暮らしをしながら写真撮影なども精力的にこなしている女性です。地域には神経内科を専門に診療している医療機関がなく、3年前に地域のケアマネジャーと訪問看護師さんの付き添いのもとクリニックを受診されました。
 
クリニックを受診してから、幸い体調が落ち着いてきたのですが、やはり今後の通院への不安を抱えておられました。相談のなかで、近隣の内科へ処方をお願いしたり、3時間ほどの神経内科へ転医する話も出ましたが、なかなか納得のいく答えにたどり着きません。どうしたものかと思って、機械操作が難しいのでは?と無理を承知で、オンライン診療の提案をしたところ、彼女はふたつ返事でオンライン診療を希望されました。オンライン診療はパソコンやスマートフォン越しに行うため、どうしても機械が苦手という方にはハードルがあるようです。彼女も機械が得意ではないようですが、訪問看護師にオンライン診療のセッティングをしていただけるとのことで、是非オンライン診療をお願いしますとの希望でした。それから彼女のオンライン診療がスタートし、毎回顔色や体調を確認しながら診療を続けています。
 
診療は対面が基本になりますが、北海道のように広い地域で、適切に利用するオンライン診療は、患者さんへのメリットも十分に期待できるものです。その彼女が、定期の対面診療のため、先日ケアマネジャーや訪問看護師と一緒に、6時間かけてクリニックに来院されました。来院前にやや調子が良くないと伺っていましたので、私たちも心配していましたが、やはり直に彼女の顔をみるととっても安心するものです。とても柔和な表情が印象的です。彼女の撮影した美しい花の写真が有名なカレンダーに掲載されましたと、カレンダーを持参して報告して下さいました。彼女の精力的なところもそうですが、付き添いのケアマネジャーと訪問看護師がとても熱心に関わってくれていることにも、頭が下がります。
 
通院、転医、オンライン診療…診療の方法は様々ですが、いずれにしても患者さんが穏やかに生活を続けられることがいちばんと、改めて感じています。
 

~春の朝陽と雌阿寒岳

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩