Dr Makoto’s BLOG

備えあれば憂いなし ~レボドパには余裕をもたせて

パーキンソン病2023.08.06

南の沖縄では台風6号が猛威をふるい、北海道の道北では大雨になっています。なんだか日本全体が湿気に包まれているようで、いつもの夏とはちょっと違うような気がします。どうか体調を崩されませんよう、ご自愛ください。
 
先日、「パーキンソン病の薬がなくなってしまったので処方をして欲しい」という切実な電話相談をいただきました。本州から仕事で札幌に滞在中のパーキンソン病患者さん。地元の病院でレボドパなどの治療薬を内服しておられますが、そのレボドパが足りなくなってしまったとのことです。すぐにクリニックに来て頂き、診察のうえレボドパを処方させていただきました。
 
この患者さんは、パーキンソン病の治療を受けて10年以上が経ち、レボドパを一日に頻回内服しながら仕事をされています。ウェアリング・オフという日内変動を伴い、レボドパが効いてくるまで30分から1時間ほど要し、レボドパが実際に効いている時間は2時間くらいのため、一日に何度もレボドパを内服しておられます。クリニックの診察室にいらしたときは、まずまず薬が効いている時間帯で、歩行や会話も一見スムーズにできています。出張で各地へ行く際には、薬が切れた状態・オフへの心配があり、ご家族がいつも帯同されている様子です。クリニックに同伴されたご家族の関わりにも頭が下がるばかりです。
 
いつもは薬もしっかり確認して外出されるようですが、今回はあいにくその薬が足りなくなってしまったようです。パーキンソン病患者さんにとって薬がないというのは切実な問題で、この患者さんも薬が足りないことに気付いたときは不安でいっぱいだったことと察します。患者さんとご家族の、クリニックに来てホッとした表情が印象的でした。
 
多くのパーキンソン病患者さんは自宅に治療薬を保管されているのではないでしょうか。患者さんによっては職場に薬の予備を保管している方もおられます。また、旅行や外出などに備えて、普段からレボドパだけは財布に入れて保管している方もおられます。たくさんの種類があるパーキンソン病治療薬、緊急時にはとりあえずレボドパさえあればなんとかなるはずです。
 
夏の大雨もそうですし、冬の寒波もある北海道。薬は少し余裕をもって管理されることを勧めています。備えあれば憂いなし、パーキンソン病の治療薬でも当てはまることかもしれませんね。
 

~夏のお花畑とトムラウシ山

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩