Dr Makoto’s BLOG

春からリハビリテーション ~人との出会い

パーキンソン病2025.02.16

クリニックにはリハビリテーションを受けている患者さんが沢山おられます。クリニック待合のフロアは、リハビリテーションの前に準備をしたり、リハビリテーションの後にお茶を飲んでリラックスしている患者さんの姿をよく見かけます。リハビリテーションへ通っているうちに、患者さんどうしが顔なじみになって、他愛もない話をしたり、お互いの体調を気遣ったり、様々なコミュニケーションをとっておられるようです。
 
クリニックに通院していたパーキンソン病患者さん。まだ50代と若い彼女は、他院でパーキンソン病の薬剤治療を受けていましたが、ウェアリング・オフと呼ばれる日内変動が目立つようになり、クリニックへ移ってこられました。とても柔らかい表情をした穏やかな彼女は、いろんな会話をしていると、私やスタッフからの話をスポンジのように吸収してくれる、懐の深さが印象的です。まずはパーキンソン病の指定難病医療費助成制度、いわゆる難病手帳の申請を行い、補助薬の調整などをすすめていくこととなりました。
 
ところが、その矢先に、ご家族の仕事の関係で転居することになったため、1年前から北見出張のときに診療させていただいています。縁もゆかりもない土地での生活が気がかりだったのですが、北見診療ではすこし吹っ切れたような表情で来院されています。
 
お話を聞いていくと、保健師さんとの関わりや、患者さんどうしの交流が、彼女にとって大きな出会いになったようです。難病手帳が届くと、(自治体によって濃淡はあるようです)保健師が関わってくれるようになるのですが、彼女にとって自分をサポートしてくれる人が増えたということが、とても心強く感じたようです。また、保健師に勧められた患者会に参加してみて、今まで会う機会がなかった同じ病気の方に接することができて、病気との向き合い方も少しずつ変わっていったようです。なによりも、同病のみなさんが凄くパワフル・元気に活動している姿をみて驚いたと、嬉しそうに伝えてくれました。
 
彼女は、近いうちにまた転居されるとのことで、春からはまたクリニックへ戻ってこられます。そして、今度は是非リハビリテーションもやっていきたいと意気込んでおられます。彼女をみていて、人との出会いで病気との向き合い方がこんなにも変わっていくものかと、とても驚いています。これは彼女の懐の深さがなせることで、私も憧れているところです。
 
 
~大雪山・沼ノ原からのトムラウシ山
 

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩