パーキンソン病2017.07.05
たくさんの方から、「薬物治療のほかにパーキンソン病に良いことはありますか?」とご相談を受けます。
「脳のドーパミンを上手く増やす」イメージを思い浮かべることができますでしょうか?
パーキンソン病では、脳内のドーパミンが減ってしまいますので、
「どうやって脳のドーパミンを増やすか」が大切なことです。
薬物治療やリハビリテーションはドーパミンを増やす効果がありますが、
そのほかにも普段の心がけで、ドーパミンを上手く増やす秘訣があります。
多くのパーキンソン病患者さんには「調子の良い日・調子の良い時間」があり、
しっかり眠った翌日、休憩後、昼寝後、軽い運動のあとにドーパミンが増え、調子が良くなっていることが多いようです。
どうしてでしょうか?
これには、
「パーキンソン病患者さんの脳は一度に出せるドーパミンのストック(貯蔵庫)が少ない」ことがあります。
つまり、
健康な状態の脳は「たくさんのドーパミンを持続して分泌」できますが
パーキンソン病では「少ない量のドーパミンがじわじわとしか分泌」されず
ドーパミンが増えやすい運動や休憩の後にも「少ない量のドーパミンが短時間しか分泌」されません。
ドーパミンの分泌が少ないと、疲労によってドーパミンがすぐに枯渇してしまうので、
ふるえる・動きにくいといった「調子が悪い状態」なるのです。
それでは、ドーパミンのストックが少ないなかで、どうやって付き合っていくと良いのでしょう?
ここは発想を逆転して、
「1回のドーパミン分泌は少なくても、何回も分泌させることで、トータルのドーパミンを増やしていく」こと、
つまり、「こまめに繰り返しドーパミン」のイメージが大切です。
そのためには、自分にあった運動強度・運動時間、休息時間を探って
「ドーパミンをこまめに分泌させる」ことが大切です。
ドーパミンの減りやすい「過度な運動」「睡眠不足」「疲労」は禁物です。
ドーパミンのストックは患者さんによってまちまちですので、これはご自分でうまく探っていく必要があります。
診察のときに、「よく眠れていますか」「軽い運動はできていますか」「疲労が翌日に溜まっていませんか」
と伺うのはそのためです。
このように「脳のドーパミンを上手く増やす」イメージを持つことができると、
きっとパーキンソン病との付き合い方に自信を持てるようになると信じています。
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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