パーキンソン病2017.09.15
先日クリニックにこられたパーキンソン病の患者さん。
夏からクリニックへ通院され、少量の薬剤治療に加え、
リハビリテーションと日々の生活でドーパミンを増やす生活指導をメインに治療を開始しました。
もともとはダンスやプールに通いアクティブに過ごす毎日でしたが、
パーキンソン病の影響で右手足のつかいにくさ、身体のだるさ、気分の落ち込みが次第に強くなってしまいました。
受診当初はパーキンソン病と診断を受けたことへの落ち込み、また病気や今後の生活への不安も強いご様子で、
診察中には時折涙ぐむ姿もみられました。
そんななかでも、これまでのいろいろな体験談から、もともとは気持ちがとっても前向きな患者さんと強く感じていました。
パーキソン病治療の中心は減ってしまっている脳内のドーパミンを増やすことです。
即効性があるのは薬剤治療ですが、長期間服用することで効果に波が出ることや、眠気といった副作用の懸念もあります。
また、薬剤治療に頼り過ぎてしまうと、いざ薬剤効果に波が出てきたときになかなか対応しにくくなってしまいます。
そのためにも、早期からリハビリテーションや日々の生活でドーパミンを増やす方法を取り入れることができれば、
「引き出し」が増え、ながい目でみて大きな武器になります。
この患者さんが通院し始めて3カ月経過しましたが、筋肉の硬さ(筋固縮)や細かな動作が良くなってきたことに加え、
なによりも前向きな気持ちが戻ってきたと話されたのが印象的でした。
日々の生活で少しだけ気持ちを奮い立たせる意識を心がけておられ、そのおかげでドーパミンが増え、
身体の動き、身体のだるさ、気持ちの落ち込みが良くなったのではないかと思います。
人間の身体はだまっていると楽な方向へ傾きやすく、
パーキンソン病でドーパミンが減ってしまうと身体や気分の調子が悪くなり、
その結果さらにドーパミンが減ってしまう「慣れ」のサイクルになってしまうと考えています。
ドーパミンを増やすうえでは「変化」がひとつ大切なポイントになります。
ちょっと笑う回数を増やしたり、ちょっと大声をだす回数を増やしたり、ちょっとストレッチの時間を延ばしたり・・・。
このように「ちょっとお尻をたたいてみる」ことでドーパミンを増やすことができれば、
身体の調子が良い方向へ向かい、ドーパミンが出やすい好循環になると考えています。
最初は作り笑いでも、楽しくなればしめたもの!
廣谷 真Makoto Hirotani
札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長
【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。
【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩
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