Dr Makoto’s BLOG

紅葉と大きな変化

多発性硬化症2017.10.25

先日、札幌の紅葉がピークを迎えました。
紅葉をみるたびに、日々の小さな変化が、大きな変化につながっていくことを感じます。

MS(多発性硬化症)でクリニックに通院している若い女性患者さん。
彼女と初めてお会いしてから今年で10年が経ちました。
とても好奇心旺盛、お話しが大好き、周りの人の気持ちをスッと掴んでパッと明るくさせる、とても素敵な女性です。

これまで病気の再発や進行を予防するありとあらゆる治療に取り組んできましたが、
お会いした当時は1年に何度も再発を繰り返し、入退院を繰り返しておられました。
もうこれ以上治療を続けられない、身体を動かす気持ちにもなれない、これからの先が見えない
…彼女の気持ちは私でさえも犇々と伝わってきましたので、支えてきたご家族の思いは計り知れないものがあったと感じています。

一時は日常生活も儘ならないときもありましたが、
彼女の治療への強い気持ちと、ご家族のあたたかいサポートで、現在まで治療を続けておられます。

ここ数年でMSの治療が各段に進歩し、再発や進行をだいぶコントロールすることが可能となりました。
彼女もここ5年は再発せず、入院することもなく過ごされています。
ここ1年は気持ちに少し余裕が出来てきたのでしょうか、熱心にリハビリに取り組み、
また自宅でもウォーキングや食事量を増やすなど、ご自分でできることを、一日一日、少しずつ、積み重ねておられます。

その結果、最近は杖を使用することもなくなり、歩いていても疲れにくくなった、
体重もしっかりついてきた、気持ちが元気になってきたと、日々の色んな変化を伝えてくださいます。
数年前では信じられないような回復ぶりで、いくら治療が進歩したといっても、
治療薬のみではきっとここまで回復できかったのではないでしょうか。
彼女の強い気持ちと、いつも一緒いるご家族の懸命なサポートがなければ、成し得なかったことは確かです。

日々の生活の積み重ねが、気づくと大きな変化になっていることを感じます。

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩