Dr Makoto’s BLOG

薬の効きめと治療の満足

パーキンソン病2018.02.02

2月にはいりましたが、ぐっと冷える日はまだまだ続きそうですね。クリニックでは節分の豆が用意されています。

パーキンソン病のための治療には薬物治療・リハビリテーション・ドーパミンを出しやすい生活を取り入れる、
といったことが欠かせないことをお伝えしてきました。

なかでも、治療の中心である薬物治療とうまく向き合っていくために、「薬の効き目をどう考えるか?」
つまり「何をもって薬が効いていると考えるか?」という考え方が大切と感じています。

たとえば、
「風邪で熱が出てしまったけど、薬を内服して熱が下がり、すっかり元気になったので薬を終了しました」
このようなときは薬の効果を実感しやすいですよね。

パーキンソン病の治療でも「薬を内服してすっかり元気になったので薬を終了しました」と言えると良いのですが、
残念ながら現代の医学ではそこまで到達していないのが現状です。

「内服して手がつかいやすくなった、(でもふるえはまだある)」
「内服して身体が軽くなった、(でも長い距離を歩くとだるくなる)」
「内服して気持ちが元気になった、(でも痛みはまだ残っている)」

薬ですべての症状をとりきることは難しいかもしれませんが、多くの症状を軽くすることはできます。
薬を増やすことで今ある症状がさらに良くなることも期待できますが、副作用(眠気・ふらつき)の懸念だったり、
10年後にも薬が効きやすい状態を維持しようとすると、必ずしも薬を増やすのが得策ではないこともあります。

仕事をしている患者さん、自宅で子育てをしている患者さん、趣味活動を楽しんでいる患者さん、
自分の身の回りのことを頑張っておられる患者さん。
「とにかく仕事はしっかりやりたい」
「子供が18歳になるまで子育ては妥協したくない」
「趣味を楽しくできたら十分幸せ」
「自分の身の回りのことを自分でできて、平穏にいられたら幸せ」

これらはどれもパーキンソン病と付き合っていくなかで大切な希望で、
言い換えると患者さん・ご家族がこれからの将来や生き方をどうしたいかという希望と言えるかもしれません。
そのために「薬の治療でどこがどれくらい良くなると、やりたいことが楽にできるようになるか」、
延いては「どういう生活・人生を送りたいか」ということを見つめなおすことも、
治療の満足を高めるために大切なことではないかと感じています。

それが少しでも叶うよう、薬をはじめ、リハビリテーション・生活の工夫といった治療・アドバイスを
日々させていただいています。

廣谷 真

廣谷 真Makoto Hirotani

札幌パーキンソンMS
神経内科クリニック 院長

【専門分野】神経内科全般とくに多発性硬化症などの免疫性神経疾患、末梢神経疾患
眼瞼けいれん・顔面けいれん・四肢の痙縮に対するボトックス注射も行います。

【趣味・特技】オーケストラ演奏、ジョギング、スポーツ観戦、犬の散歩